カバレットで自信をつけたチョン氏は、2021年1月に「私とは次元の違う」コレクターからこのカルティエ タンク ア ビスを購入したそうだ。「彼はコレクターで、私は愛好家です。私は多くのものを集めていますが、他の趣味では、人々は時間や知識をそれほど惜しまないものです」。何よりも、カルティエへの愛を分かち合おうとする彼の姿勢に心を打たれたそうだ。
1998年から2008年にかけて、カルティエの最も大胆なアーカイブデザインを復活させたコレクション プリヴェ カルティエ パリで特徴的なロゼット模様を中心に、手彫りのギヨシェ文字盤を配した一風変わったディスプレイ表示。「これはCPCPの作品ですが、だから気に入ったわけではありません。ギヨシェ装飾やムーブメント、美意識に至るまでが美しく作られています。私はユニークでレアなものに惹かれるんです。この時計は、私に語りかけてくるものがあります」。
1976年製の2ドル札は、チョン氏が10歳前後の頃、父親からもらったものだ。ある日、学校でいじめられた彼女は、父親から約80枚あるお札のコレクション(毎年1枚ずつ集めようとしていた)の最初の1枚としてこのお札をプレゼントされた。
「初めて買ったものだし、状態もいいし、特別なものだと言っていました」とチョン氏は振り返る。「言い方が不器用なんです。でも、父は理解してくれていて、変わっていてもいいんだと言ってくれたんだと思います」。