パイロットウォッチの代表作である“ビッグ・パイロット・ウォッチ”にスポットライトを当て新作モデルを発表したIWC。“Watches & Wonders 2021”で発表された注目モデルをお届けしよう。
》ビッグ・パイロット・ウォッチの可能性を広げる新機軸を投入
1936年に軍用パイロットウォッチの原点ともいえるマークIXを発表して以降、40年代に誕生した“ビッグ・パイロット・ウォッチ 52 T.S.C.”をはじめ、様々な名作を生み出してきたIWC。パイロット・ウォッチのコレクションは、39年に誕生したポルトギーゼと双璧を成す代表するコレクションとして、現在も進化を続けている。
同社は昨年にポルトギーゼのリニューアルを行ったが、オンライン開催となった“Watches & Wonders 2021”では、IWCは85年間の歴史を築いてきたパイロットウォッチの代表作である“ビッグ・パイロット・ウォッチ”にスポットライトを当て、幅広いラインナップを展開している。
46.2mmと大振りなサイズであった既存モデルをベースに、ダウンサイジングを実現したビッグ・パイロット・ウォッチ 43、パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41に加え、エンジニアリング部門である“IWCエクスペリメンタル”が手掛けたコンセプチャルな新コレクション“ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL”などいずれも、良作揃い。
複雑機構搭載モデルのラインナップや、先進技術を駆使したカラーバリエーション展開の充実により、これまでの専門性の高いツールウォッチから実用的な高品位スポーツウォッチへと、新たなステージへの進化を見事に宣言している。
<ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL>
最先端技術の開発や研究を行うエンジニアリング部門である“IWCエクスペリメンタル”が手掛けた、特許を取得したSPRIN-g PROTECT システムを搭載したIWC初のモデル。独自に開発されたショックアブソーバーシステムを搭載したことで、耐衝撃性能を大幅に向上させることに成功している。
最大の特徴と言えるのが、耐衝撃性の物理的な限界を引き上げるため、衝撃時にかかる重力からムーブメントを保護するカンチレバー・スプリングを採用した点だろう。このカンチレバー・スプリングはムーブメントのクッションとしての役割を果たし、ケースから独立して動いたり、緩やかに停止したりすることを可能にしている。
スプリングは、高度な製造プロセスが必要な非結晶性の微細構造を持つバルク金属ガラス(BMG)で作られており、従来の金属素材をはるかに上回る弾性を備える。また、ムーヴメントをケースから独立させることができる巻き上げ機構をもつ、独自のリューズシステムを採用している点も注目すべき点といえるだろう。
これら技術の技術によって、ケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所で行われた衝撃試験で、3万g(パイロットがコックピット内の硬い表面に誤って時計をぶつけた場合などを想定すると、その加速度は300~1000g程度)を超える衝撃加速度にも耐え抜くことが確認されている。
ケースの素材にはIWCが特許を取得しているチタン合金をベースとしたセラタニウムを採用。チタンと同程度に軽量かつ堅牢でありつつ、加工時に高温熱処理を施すことで表面にセラミックスの特性が備わり、セラミックスのように硬く傷が付きにくい性質を持つ。独特のマットブラックの質感も精悍な印象で魅力的だ。
ムーヴメントはIWCの自社製キャリバー32115を搭載。部品のいくつかは、 航空宇宙工業界でも使用されているハイテクアルミニウム合金を採用しており、軽量でありながら優れた堅牢性を確保。双方向爪巻上げ機構によって120時間のパワーリザーブを実現している。このモデルはIWCブティック、IWCカスタマーサービスで、年間10本の限定生産となる。
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